【46期 建設・建築業界の現状と課題】
- 2024年6月21日
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現在、建設業界は資材価格の高騰と深刻な人手不足に直面しています。この影響により、複数の大型建設プロジェクトが延期や計画変更を余儀なくされています。
●主なプロジェクトの遅延
TOCビル(東京・五反田): 30階建ての超高層ビルへの建て替え計画が先送りとなりました。
札幌駅再開発プロジェクト(JR北海道): 完成時期が従来の2028年度から最大2年遅れる可能性があります。すでに始まっているはずの駅前商業施設エリアの解体工事も延期中です。
千葉駅近くの複合ビル建設(JR東日本):ビル内に市民会館を新築する計画が宙に浮いています。
●人手不足の深刻化
建設・建築業界では4月から残業時間の上限規制が導入され、特に現場監督の人手不足が深刻な問題となっています。これにより建設コストが高まり、受注状況にも悪影響が及んでいます。
大手ゼネコン4社(鹿島、大林組、大成建設、清水建設)の受注高は、2025年3月期に前期比で21%減少する見通しです。
●建設・建築業の倒産増加
建設・建築業界では資材価格の高止まりや人手不足の影響を受け、中小企業を中心に倒産が増加しています。
2023年の建設・建築事業者の倒産件数は1671件と前年比38.8%増加し、8年ぶりに1600件を上回りました。全体の倒産数も前年比36%増の8292件で、その95%を従業員30人未満の小規模企業が占めています。
●背景にある要因
物価高と人手不足のダブルパンチ: 資材価格や人件費の上昇が経営を圧迫しています。
過剰債務の問題: 新型コロナウイルス禍により、実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)の返済が本格化し、これが資金繰りの悪化に拍車をかけています。
2023年には返済が始まり、特に民間金融機関で借り入れた約5万1000社で返済が始まったことが経営悪化に影響を与えています。
●2024年の見通し
東京商工リサーチ情報本部長の友田信男氏は、「物価高や人手不足、過剰債務の問題もあり、2024年の倒産は1万件を超える可能性がある」と指摘しています。
特に2024年4月には、企業倒産件数が前年同月比28%増の783件となり、増加率は2024年に入って以降で最も高くなっています。
●まとめ
建設・建築業界は資材価格の高止まりと人手不足による多重の課題に直面しており、プロジェクトの遅延や中小企業の倒産増加といった深刻な影響が出ています。これらの課題を克服するためには、自社の労働環境の改善や資材コストの抑制策など、全社的な対策が求められています。
太陽ハウス(株)岩橋淑行
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