お年玉で「お金の教育」 貯金一辺倒より、使って失敗を
- 2024年12月20日
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子どもが心待ちにしているお正月のお年玉。学研教育総合研究所によるアンケート結果によると、小中学生の使い道は「貯金」が一番多いという。ただお金はためるだけではなく、賢く使うことも大事だ。
お年玉を活用した「お金の教育」について、ファイナンシャルプランナーの菅原直子さんの助言を紹介する。
気持ちこもったお金、どう使う?
子どものうちにお金との付き合い方を学んでおくことは、将来自立して生活するためには欠かせない。貯金一辺倒ではなく、どうしたらお金を使って必要なもの、欲しいものを上手に手に入れられるか、小さな体験を積み重ねておくことが大切だ。
お年玉は普段のお小遣いより大きな額となることが多い。目的のものを買いやすく、我が子に「お金の教育」を行うための絶好の教材となる。
渡してくれる人の気持ちがこもったお金であることも、子どもの学びを深くする。「あなたのことが大事だから、大切なお金の中から、出してくれたんだよ」と親が説明すれば、より真剣に使い方を考えてくれるだろう。
冬休みに入ると「お年玉はいくらもらえるだろうか」「何を買おうか」と胸を躍らせる子どもは多い。ごく自然なことで、「お金についてばかり考えるのは品がない」などと叱ってはいけない。
「あなたのことを思ってくれる人がたくさんいるんだね」と受け止めてあげよう。
最終的に決めるのは子ども
いざお年玉をもらったときに、まず親が理解しておくべきなのは、お年玉は「子どもがもらった子どものお金」という点だ。
家計の足しにしたくても、黙って親のポケットに入れるのは「お金の教育」としてはよくない。生活費として使う必要があるなら、子どもに説明したうえで、親が管理することをきちんと記録しておこう。
子どものお金なので、使い方についての決定権も子どもにある。親子で話し合いながらも、最終的には子どもに決めさせたい。
ゲームのソフトや自転車、洋服……。興味関心や友達との関係なども踏まえて、自由に買いたいものを選ばせてほしい。親としてできるのは、より慎重に考えるように、また賢く消費するように、助言することだ。
「おばあちゃんは、もっと本を読んでほしいと言っていたね」などと、くれた人の気持ちを改めて伝えてあげるのも効果的だ。購入する場所や時期によって価格が違う可能性があることも、教えてあげよう。
無駄遣いに「ほら言ったでしょ」はNG
結果的に購入したものにすぐ飽きてしまったり、価格に見合わないものだったりして、失敗することはある。それでも「ほら言ったでしょ」などと責めてはいけない。
無駄遣いをしても、お年玉の範囲内で済むので、大きなダメージにはならない。親子で失敗を振り返り、子どもが「次に生かそう」と前向きにとらえることができるなら、「お金の教育」としては成功だ。
「お金について困ったら、親に相談していい」と理解してもらうよい機会にもなる。将来的に金銭面で問題を抱えることがあるかもしれない。深刻化する前に、親に相談するような関係性をつくっておきたい。
お金には色々な使い方があることも、ぜひお年玉を活用して知ってもらいたい。物だけでなく、例えば行きたい博物館の入館料に充てるなど、体験活動に使うこともできる。
親子で協力して、災害の被災地への寄付に使うのも、貴重な経験になる。寄付がどのように使われるのかをインターネットで調べてみれば、社会勉強になる。
口座を開設、お金の重み感じる効果
お年玉で手の届かないものが欲しいなら、毎月のお小遣いを積み足していき、数カ月先に購入するといった計画づくりにも挑戦してほしい。
特に高校生の場合は、現実的な問題として、お年玉を進学費用に充てる必要に迫られるかもしれない。親子で話し合い、受験料や入学費用の一部などに使う計画をたててもいい。
学費の工面が苦しくても、子どもに話せない親は多い。ただ各地の高校に招かれて進学費用について説明してきた経験からすると、多くの高校生はお金の問題を自分事として考えている。
早いうちから親子で家計の現状について共有し、お年玉の活用について決めておいた方がいい。
貯金する場合でも、一工夫で「お金の教育」は可能だ。例えばお年玉を自宅に置いておくのではなく、金融機関に親子で出向き、子どもの口座を作ってみることをお勧めする。
窓口の係員に説明してもらい、必要な書類に記入するといった体験には、お金の価値や管理することの重さを肌で感じられるという効果がある。
「契約」について学ぶこともできる。内容をだいたい理解できるようになる小学校中学年くらいから、ぜひ検討してみてほしい。
すがわら・なおこ ファイナンシャルプランナー。高校生や保護者ら向けのセミナーに登壇し、学費や奨学金などについて解説してきた。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。
投稿責任 社長




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