top of page
検索

カチタス、空き家再販4割増 改修選別で1000万円以下も

  • 2024年2月9日
  • 読了時間: 3分




中古住宅販売のカチタスが空き家を買い取り、再生販売する事業で存在感を高めている。

2024年3月期の中古戸建ての販売件数は7529件と5年前より4割増える見通し。資材費や人件費の上昇で建築コストが膨らむなか、リフォームで既存の木材を生かし価格を抑えて住宅を提供。部分改修などサービスの幅を広げつつ、地方郊外の家族層を取り込む。

「新築の一軒家と変わらないきれいさで正直驚いた」。埼玉県秩父市在住の男性会社員(37)は23年6月に市内の中古戸建てに家族4人で引っ越した。築40年の木造戸建てを約2100万円で購入し、3カ月かけて内装を全面リフォームした。以前住んでいた賃貸アパートに比べて庭を含めた居住面積は2倍ほどに増えたという。

周辺の新築住宅の価格は立地によっては3500万〜4000万円ほど。男性は「新築は数年前よりも大きく値上がりしているし、入居まで1年近くかかることからすぐに入居できる点も魅力的に映った」と話す。2階部分は現在4歳の長男が成長した時の子ども部屋として使う予定だ。

男性に戸建て住宅を販売したのがカチタスだ。同社は人口5万〜30万人の地方都市を中心に空き家を仕入れ、改修などで住める状態にしたうえで販売するビジネスを手がける。

リフォーム産業新聞(東京・中央)の調査によると、買い取り再販の販売戸数で10年連続でトップを維持するなど、競合他社から頭ひとつ抜けている。


主要顧客層は30〜50代で世帯年収は200万〜500万円

住宅価格高騰と賃金の伸び悩みで中古マンション購入の年収倍率も全国平均で7.27倍(22年、東京カンテイ調べ)と拡大傾向にあるなか、同社は約4倍と手の届きやすさが売りだ。

新井健資社長は「物価高で住宅に割ける予算が限られるなかで若い層の受け皿にもなっている」と話す。

カチタスが好調を維持できる理由が徹底したコスト管理だ。同社は仕入れ値が安い築30〜40年の物件を取得し、まずシロアリや雨漏りのリスクなど住宅の状態をじっくり調べる。過去のデータも参考にしながらリフォーム時に屋根裏や床下を本当に交換すべきか見極めることで余計なコストを抑えられるという。

顧客の要望によってリフォームの度合いは変わるが、「新たに使う木材の量は新築に比べて7分の1程度に抑えられる」(新井氏)。

販売物件は2年間の修繕保証が付くほか、耐震性能も見直すため、購入後に30年以上住める住環境の質を担保していることも消費者を引き付けている。


原則フルリフォームの物件が多いものの、今後、部分改修サービスの拡大に力を入れる

今後力を入れていくのが部分改修サービスの拡大だ。現在は原則フルリフォームの物件が多いものの、空き家の状態次第ではキッチンや風呂場などの水回り環境といった特定箇所だけリフォームすれば住めるというケースも少なくない。改修内容の見直しで販売価格が1000万円を切ることもあり、中間所得者のニーズが見込めるという。

中古戸建ては物件ごとに築年数や構造も異なるため、営業社員ひとりひとりの経験がサービスの質を大きく左右する。新井氏は「採用強化だけでなく教育面にも積極的に投資していく必要がある」と語る。

価格高騰による需要減で住宅業界は苦戦が続くなか、独自の成長戦略で中古住宅流通のシェアを広げていきたい考えだ。

(山口和輝)

 

 
 
 

Comments


一般社団法人SGC

©2023 一般社団法人SGC

bottom of page