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ミサワ、トレーラーハウスで快適さ追求  活用の幅広がる

  • 2024年3月8日
  • 読了時間: 3分



 自動車でけん引して移動できるトレーラーハウスの活用の幅が広がっている。断熱や遮音性能を向上させるなど居住性を高めたものが相次いで登場しているためだ。

 宿泊施設や災害時の仮設住宅のほか、店舗などにも活用するケースもあり、新たなビジネスチャンスを生んでいる。



 

 ミサワホームは企業や自治体向けに、トレーラーハウス「ミサワユニットモビリティ『ムーブコア』」を販売している。

 

 壁や床などの内装に一般住宅に使う材料をほぼそのまま採用して、戸建て並みの断熱や遮音性能を確保した。グランピングの宿泊施設を模し、例えば外気がセ氏30度という夏でもコンテナの中では涼しく感じる。

 

 シャワーや自前の発電設備を取り付けることができる仕様にした。グランピングで宿泊施設として使ったりテラスなどを取り付けてカフェにしたりできる。

 

 開発には南極で培った技術力を生かした。同社は宇宙航空研究開発機構(JAXA)などとともに、南極の昭和基地で活動する隊員の居住空間を手がけてきた。南極は極寒なため高い断熱性能は必須で、雪の上で住居を移動する際の揺れに対応できる強度も必要になる。

 

 内装も工夫した。接着剤や釘を使わず、パネルを移動することで内部の構造を簡単に組み替えられる。価格はシャワーなどの水回りをつけると1000万円程度になるという。

 

 日本トレーラーハウス協会(東京・中央)によると、トレーラーハウスの利用は拡大している。

 大手住宅メーカーの参入が進み、協会の加盟社も3倍程度に増えた。トレーラーハウスは原則、車幅や車高の基準を満たして車検を受けて「自動車」として認められる必要がある。

 

 自動車以外はけん引免許でけん引して、公道を走行できないためだ。車検を通らないトレーラーハウスを移動して書類送検された例もある。

 

 ホテルや街の交流拠点にも

 

 コンテナ建築などを手がけるデベロップ(千葉県市川市)は2018年からトレーラーハウスを平時にホテルとして営業し、災害時などに宿泊所や医療拠点として利用する事業を行う。



 

 特徴は特徴は高い機動性にある。要請から3日以内に50台の客室を北関東から九州へ移動し、設置完了した。

 

 新型コロナウイルス禍では臨時の隔離施設やPCR検査所として200台以上が利用された。現在は国土交通省や約120自治体と連携し、有事に迅速に出動できる体制を整えている。

 

 9月時点で北関東から九州地方を中心に全国67拠点、2200室以上の客室がある。内部にはベッドやユニットバスなど一般的なビジネスホテルと同等の設備を備えている。

 

 トレーラーハウスを街の交流拠点に活用する動きもある。空き地キッチン(東京・世田谷)は、小田急線の線路跡地に開業した「下北線路街」の一角を占める、トレーラーハウスを使った店舗だ。



 

 出店者が定期的に変わる共有型のキッチンで、下北沢で将来店を構えたいと考える若者が試験的に店を開いたり、週末のイベントで親子が調理を体験したりするのに利用している。店前の「空き地」と呼ばれる場所には椅子やテーブルもあり、週末は地域の人々でにぎわいをみせる。

 

 下北沢駅周辺は13年に小田急線の一部が地下化したことで、現在も開発工事が続いており、大きな建物を造りづらいという事情がある。動かしやすいトレーラーハウスはこうした事情にも対応できた。

 

 開発を手がける小田急電鉄の担当者によると「法律的には建築物ではないという点で、節税効果もある」という。

 

 旅先で仕事をするワーケーションなどの需要も広がっている。トレーラーハウスはアイデア次第で用途を開拓できるため、今後も様々な業種が参入しそうだ。(太田聖哉)

 

 
 
 

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