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千葉県3銀行、株主総会開催 千葉銀は改革推進を説明

  • 2024年7月12日
  • 読了時間: 5分

 千葉県内に本店を置く千葉銀行京葉銀行千葉興業銀行は26日、そろって株主総会を開いた。


 県内最大手で株価純資産倍率(PBR)が0.8倍台と地銀上位にある千葉銀では「執行役員の適正な人数」や「顧客の声の収集と施策への反映」などといった株主の質問があった。取締役の選任や任期の短縮など4つの議案はいずれも承認された。


 金融商品の販売方法を巡る23年6月の行政処分を踏まえ、その後の組織改革への取り組みに関する説明もあったという。同行は「収益至上」の風土を改めるべく、同年10月に個人の収益目標を撤廃、顧客との向き合い方などを評価するように変えた。


 収益も堅調に推移しており、24年3月期決算では連結純利益が過去最高だった。


 金融当局による行政処分を受けた直後の時期に開催された前年より24人減り93人の株主が参加した。総会の所要時間は72分と前年並みだった。


 3行は融資といった伝統的な金融事業以外の分野を強化しているが、施策が横並びになる場合も多い。


 京葉銀の総会では「他行との差別化について」との質問が出た。同行は「『金利ある世界』において粘着性のある預金が収益機会を生み出す。戦略的な店舗展開や専門的な人員配置により、サービス提供体制を拡充する」と強調した


 同行は日銀のマイナス金利政策下でも預貸を伸ばすことに力を入れてきた。千葉県南部など人口減少が進む地域でも、店舗を大幅には減らさない構えだ。PBRが3行のなかで最も低い水準に沈むなか、株主からの評価を高められるか采配が試される。


 千葉興業銀行では大幅減益を予想する2025年3月期の業績予想について質問があった。同行は「(今期決算予想では)貸出金利の引き上げによる収益などは織り込んでいない。保守的にみている」などと説明したという。(勝莉菜乃)




 京葉銀行の熊谷頭取「PBRに伸びしろ。成長戦略で向上」       

  京葉銀行千葉銀行に次ぐ県内2位地銀だ。


 しかし企業の収益力を映すPBR(株価純資産倍率)は足元で0.3倍程度と千葉銀(約0.7倍)に水をあけられている。「金利ある世界」の復活を見据え、どのように企業価値を高めるのか。就任8年目のベテラン、熊谷俊行頭取(第二地方銀行協会会長)に聞いた。


――昨年6月、2度目の第二地銀(旧相互銀行)協会長に就きました。業界リーダーとして協会加盟行の状況は。


 「(貸倒引当金など)信用コストは今のところ幸いにも落ち着いている。


 だが中小企業の置かれた経営環境は厳しい。アフターコロナの世界で単なる資金繰り支援から、経営改善や事業再生にどうつなげるか。価格転嫁や人手不足といった容易には解決できない課題にどう対応するか。業界代表として重い課題を意識する」


――頭取として京葉銀が重視してきたことは。


 「まず預金や貸出金といった銀行の基礎的な基盤拡大だ。実際、預貸双方で10年前の2013年3月期と比べて5割ほど伸びている。さまざまな算出方法があるが、県内シェアもおのずと高まっていると理解している」


 「とりわけ高齢化社会を見据え、年金預金を着実に増やしてきた。都内に通勤する人はメガバンクなどを給与振込口座にしがちだが、老後は(店舗の多い)地元の銀行を使うという人が多い。20年程前から丁寧な年金相談会を多く開催するなど、地道に取り組んできた」


 「一方で、次世代の若者の開拓は不可欠。環境変化のなかで、将来に向けた基盤拡大が我々に試されている」


――若年層はキャッシュレスやネット銀の利用が普及しています。支店の多さだけでは取り込めないのでは。


 「(顧客との接点の持ち方など)チャネル戦略をいじる。支店は減ってきているが、店舗がまったく要らないということではない。むしろ『どんな銀行業務が人でないとできないか』を考えるのが大切。


 人材改革が必要なのはもちろん。キャッシュレスの世界で提供するサービスをいかに収益(マネタイズ)につなげられるかがカギだ」


――業績は比較的堅調ですが、PBRは県内他行と比較しても低水準です。どう受け止めていますか。


 「率直に我々の努力が足らないと受け止める。もちろん(超低金利下で)銀行業という業種はPBRの引き上げが簡単ではない。だが過去を遡れば、1倍を上回っていた時代があったのもまた事実だ」


 「裏を返せば当行には(PBRの向上へ)伸びしろがある。東京証券取引所からPBR改善要請があったが、最も問われているのは企業の成長戦略だ。


 増配や自社株買いだけではない。金利の復活を控え、データを駆使したデジタル戦略も並行して深化させる」


――新しく導入する勘定系システムの稼働時期を24年1月から25年1月に延期しました。システム問題は、他行で障害が相次ぐなど注目です。


 「うちの勘定系システムは安定稼働しているが、追加開発を重ねてきた結果、一部(複雑に)スパゲティ化している。(スリムにするため)新しいシステムが不可欠だ」


 「だが導入にあたりコロナ禍でのシステム人材不足など難題はあった。そのなかでも自分たちの意思で開発のスピード感を決め、カスタマイズしてきた。他行と競争する分野ではない。おのずと重要なのは安定性。慎重に検証を重ね周到なシステムを追求する」


――京葉銀は埼玉りそな銀などを傘下に置くりそなホールディングス(HD)と21年に業務提携しました。


 「『戦略的な業務提携』と銘打った。ビジネスマッチングやデジタル、人材育成などで連携している。大手銀のりそなに学ぶべきノウハウやアプリなどでサービスを取り入れる」


 「(千葉興業銀行を含む)県内3行は共通した戦略がある半面、それぞれに特色もある。うちは中小・零細企業と取引が深い相互銀行だった歴史もあるためか『親しみやすい雰囲気がある』と顧客から言ってもらえる。取引先の『課題解決型』経営を徹底する」


(聞き手は勝莉菜乃)

 

 
 
 

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