台湾議会、民進党が少数与党に 政策推進に足かせ
- 2024年4月19日
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【台北=羽田野主】13日投開票の台湾総統選と同時に実施された立法委員(国会議員)選で、米国との関係を重視する与党・民主進歩党(民進党)の議席が過半数を割り込み、第2党に転落した。少数与党となったことで予算・法案の通過が不安定になり、米国との安全保障の連携の足かせになる。
台湾の立法院(国会)は一院制で、4年ごとに113議席がすべて改選される。民進党は62議席から51議席に議席を減らし、第2党になった。最大野党・国民党は37議席から52議席に大幅に増やし、第1党になった。第3政党の台湾民衆党は5議席から8議席に上積みした。
総統選に当選した民進党の頼清徳・副総統は13日「民進党の議席が過半数に及ばなかったのは、我々の努力が足りなかった。謙虚に反省しなくてはならない」と言及した。
頼氏は米国から最新鋭の武器を導入し、防衛力を高めて中国の脅威に対抗する考えだ。日本や欧州といった民主主義国と外交の連携を強化し、中国の侵攻リスクを抑える戦略を描いている。
頼氏の政権運営の要になるのが立法院で法案や予算案の可決に必要な過半数(57議席)以上の議席の獲得だった。民進党は少数与党政権への転落が決まり、政策の推進力に黄信号がともる。
2016年に発足した民進党の蔡英文(ツァイ・インウェン)政権は20年の選挙でも勝利し、8年間、過半数の議席を確保した。軍事的威嚇を強める中国に対抗して防衛予算案を7年連続で積み増し、自前の潜水艦の建造も始めた。
公務員の年金カットやアジアで初めて同性婚を合法化するなど異論のある政策にも取り組んだ。政策の推進力が底堅い支持率につながった。
台湾の総統は内閣トップの行政院長(首相)を任命する権限をもつ一方で、立法院に行使する力は限られる。米大統領のように議会が可決した法案に拒否権を発動する権限もない。少数与党となり新総統の肝煎りの重要な法案や予算案が通らなくなる可能性がある。
典型的なのが00〜08年の民進党の陳水扁政権だ。国民党から初めての政権交代を実現したにもかかわらず、民進党の議席数が過半数に届かず、国民党を中心とする野党が多数を占めた。
当時の米政権は軍拡に突き進む中国を抑えるために台湾に通常動力型の潜水艦8隻などの供与を約束した。陳政権が編成した米武器購入のための防衛予算案は野党・国民党にたびたび阻まれた。
頼氏は1月9日の記者会見で当時をふり返り「国民党が主導した立法院は69回も予算案の審議を阻み、米国からの武器購入はだめになった」と発言した。少数与党政権による政治の混乱リスクを訴えた。
国民党幹部は「民進党の防衛政策は抜本的に見直す必要がある」と指摘する。防衛予算の組み替えやスリム化を求めていく構えだ。
蔡英文政権は中国の侵攻リスクに対処するために米国の戦闘機「F16」の新型機や重武装の米戦車「M1」などを積極的に購入してきた。23年には自前の潜水艦1隻を進水させた。防衛予算案が野党に阻まれるようになれば、米国と台湾の安全保障の連携は停滞する懸念がある。
焦点は第3政党の台湾民衆党だ。民進党も国民党も過半数に届かず立法院でキャスチングボートを握った。
頼氏は総統選を巡りライバルのひとりである民衆党の柯文哲・党主席への批判を抑えてきた。国民党も民衆党との連携を呼びかけている。総統選後を見据えた立法院の多数派工作はすでに始まっている。
ひとこと解説
民進党の集会にいましたが、結果が芳しくなかったからなのか、途中から立法院の結果を会場のモニターで見せていなかったので、結果がよくわかりませんでしたが、第一党が変わるほどまでだったのは驚きました。ただ単独過半数を取った政党はおらず、国民党と民進党、どちらが与党になるかは民衆党次第であり、民衆党が重要な立場になります。国民党と民進党、どちらにつきそうか、いろんな人に聞いてもはっきりと答える人はおらず、現時点では何とも言えません。新しい総統が就任する5月20日まで、様々な交渉がありそうです。
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