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建設業務のAIエージェント、施工計画書を数分で作成

  • 3月21日
  • 読了時間: 3分

 東大発スタートアップの燈(あかり、東京・文京)は、建設業向けに特化した人工知能(AI)エージェントを開発し、2025年2月にサービス提供を始めた。建築の工法検討や施工計画書の作成などで利用でき、業務効率化を支援する。


 AIエージェントは、ユーザーが自然言語で与えた大まかな指示を解釈して、適切な手段を選択しながらタスクを実行するシステムのこと。


 具体的な指示を与えなくても、人の代わりに複雑な業務を遂行できると期待が集まっている。


 例えば、燈のAIエージェントに「新築建物の施工計画書を作って」と指示を与えた場合、次のような手順で業務を遂行していく。


 まずAIエージェントは、計画書を作成するためのタスクを自律的に整理する。過去の類似資料の参照や法令の検索、施工計画書の書き方の学習、工期やコストの評価などのタスクがある。


 その後、整理したタスクに沿って、必要な作業を順次実施し、最終的に施工計画書を作成する。


 階数や構造、延べ面積など建物の特徴を事前に与えることで、より具体的で高精度な計画書をまとめることができるようになる。指示を与えてから計画書を提案するまでに要する時間は数分程度だという。


 「従来のシステムでは『特記資料書を基に、施工法をまとめて』といった形で、参照する資料を細かく指定することが多かった。これに対してAIエージェントでは、業務のゴールを指示するだけで精度の高い回答を得ることができる」。


 燈の野呂侑希代表取締役最高経営責任者(CEO)はAIエージェントの利点をこう語る。


一般的なチャットボットでは細かくタスクを指示していたが、                                 AIエージェントであれば業務の目的を指示するだけで必要なタスクを自律的に実行してくれる
一般的なチャットボットでは細かくタスクを指示していたが、                                 AIエージェントであれば業務の目的を指示するだけで必要なタスクを自律的に実行してくれる


 AIエージェントの利用場面は多岐にわたる。 


 管理職であれば稟議(りんぎ)書の作成や見積金額の管理などで使用でき、現場監理者であれば施工計画書や事故報告書の作成などで活用できる。


 建設コンサルタントであれば、調査結果の報告書や入札説明書の作成などに利用できるだろう。


業務支援AIチャットに新機能として導入


 燈は24年4月から提供している業務支援AIチャットの「光/Hikari」に、今回開発したAIエージェントを新機能として導入した。


 光は建設業に特化した大規模言語モデル(LLM)を用いたサービスだ。約3000万語の建設用語のコーパス(文書データ)を基に、ユーザーの質問への回答を生成する。音声に対応するインターフェースも実装している。


 料金は1人当たり税込み1500〜2000円/月程度で、現在150社以上の企業が利用している。既に光を利用しているユーザーは、追加料金なしでAIエージェントの機能を使用できる。


 光はチャット形式への質問回答に加え、工事現場の危険性を検知する画像認識機能や建物のイメージパースの生成機能なども備える。さらに、自社の資料を基に回答を生成する検索拡張生成(RAG)の機能も搭載している。


 AIエージェントの説明をする燈の野呂CEO。「建設業界でAIエージェントをどのように活用できるかを考え、数年前から準備をしてきた」と語る。


 燈はシステム開発を自社で手掛けており、社内エンジニアは100人を超える。設計図などを3次元(3D)化するBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を利用して、構造図を解析するAIサービスなども展開している。


 野呂CEOは、「今後2年程度でAIエージェントの機能をさらに拡充させる方針だ。『BIM管理』や『図面検索』など自社で既に展開しているAIを活用したサービスを、AIエージェントとして利用できるようにしていく」と意気込む。



投稿責任  社長

 
 
 

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