建設残土の処分でトラブル続出 新制度は抑止力になるか
- 2024年9月13日
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千葉県多古町の土地に無許可で土砂を運び込んだとして、残土の運搬・処理会社の取締役が同町残土条例違反の疑いで2024年6月12日に逮捕された。
運び込んだ土砂は建設残土と見られ、高さ30メートル以上に積み上がっている。建設残土の処分を巡るトラブルは全国各地で起こっている。
排水処理などが不十分で、崩壊の恐れがある危険な盛り土が造成されることも少なくない。問題のある残土処分については従来、その状況に応じて森林法や農地法、残土条例など様々な法令で対処してきた。しかし、全体を網羅する法がなく、抜け穴が生じていることもあった。
そこで、新たに制定されたのが23年5月施行の盛り土規制法だ。施行後5年以内をめどに、都道府県知事などが人家や人命に被害を及ぼす恐れのある場所を規制区域に指定する。例えば、東京都では24年7月31日に規制区域を指定し、同法に基づく規制を開始する。
規制区域では、一定の規模以上の盛り土をする場合、許可や届け出が必要となる。宅地造成に伴う盛り土だけでなく、残土の処分や一時的な積み上げも規制対象だ。
最終搬出先までの確認制度始まる
さらに、残土処分に関して注目されるのが、資源有効利用促進法の省令改正で24年6月1日に始まった最終搬出先までの確認制度だ。
残土を排出する元請けの建設会社が、最終処分まで責任を持って確認する。
ストックヤードを経由して処分する場合、ヤード内で他の現場から出た残土と混ざらないよう管理する必要がある。ただし、国土交通省のストックヤード運営事業者制度に基づいて登録されたヤードでは、分別管理が不要だ。
残土の運搬・処理会社の中には、違法な盛り土によって処分費用を安く済ませている会社もある。
残土を排出する施工者がこうした信用の置けない運搬・処理会社に任せていることが、冒頭に挙げたような問題につながっているといわれる。新たな確認制度が不法投棄への抑止力になると期待される。
一方、忘れてはならない視点もある。残土を排出する建設工事の発注者の責任だ。
国や自治体の工事では、一般的に発注者が残土の処分先を決める。
しかし、民間発注者では残土の処分を施工者任せにしている例が多く、法令違反につながりやすい。建設残土は施工者だけの問題ではないのだ。
記事編集 社長
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