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11月倒産38%増 人手不足深刻、建設・物流は2024年問題 

  • 2024年4月5日
  • 読了時間: 4分

東京商工リサーチが8日発表した11月の企業倒産件数(負債額1000万円以上)は807件と前年同月比38%増えた。増加は20カ月連続。


 人手不足と物価高が企業収益を圧迫し、とくに建設業と物流業で苦境が顕著だ。両業種を対象に時間外労働に上限規制を設ける「2024年問題」を前に、人手不足倒産は過去最多ペースで膨らむ。


 地区別では北陸を除く全国8地区で前年同月を上回った。資材価格の上昇など物価高を要因とした倒産は38%増の54件だった。3月から連続で50件を超え増加基調がつづく。


 倒産の大部分は中小零細企業が占める。件数ベースで負債1億円未満は46%増の624件と、全体の77%を占めた。価格転嫁が進まず、物価高の影響を受けやすい中小零細を中心に、資金繰りに行き詰まり倒産するケースが増えている。


 人手不足はあらゆる業種で広がっているが、建設業と物流業は新型コロナウイルス禍前から表面化しており、足元ではさらに深刻になっている。


 帝国データバンクによると建設業と物流業の人手不足を理由にした倒産は1~10月で111件と前年同期比2.4倍に増えた。同期間では記録のある13年以降で最多。


 内藤修・情報統括部課長は「経営体力に乏しい小規模業者が多く、人の確保もままならない中で燃料費などの負担増に耐えかねて倒産するケースが増えている」と話す。


 帝国データが10月に約3万社を対象に実施した調査によると、正社員が「不足」と答えた企業の割合は建設業と物流業でそれぞれ7割にのぼる。


 日本ロジスティクスシステム協会は、15年に76万人いたトラック運転手など物流の担い手が、30年には3割減ると予測する。


 追い打ちをかけるのが、建設業と物流業を対象に24年4月から導入される新たな時間外労働の上限規制だ。トラック運転手は労使間で合意すれば事実上無制限に残業でき、建設業も時間外労働の上限規制から除外されていた。


 来年4月以降は残業時間が青天井ではなくなり、同じ量の仕事をさばくには追加で人員を確保する必要がある。


 運送会社「アスティ」(神奈川県座間市)を経営する美濃口集社長は「燃料費が高騰するなかで配送単価は変わらず、利幅は狭くなる一方だ」と話す。賃上げ圧力は強まるが、人件費を十分に捻出できない企業は多い。


 足元ではM&A(合併・買収)で生き残りを目指す動きも広がる。M&A助言のレコフによると、23年1~11月の建設業と物流業のM&A件数は240件と、通年で過去最多だった21年(276件)に迫る勢いで伸びる。


 M&Aキャピタルパートナーズの鈴木康士企業情報部長は「物流業は業績が好調でも、労務管理と収益確保を両立させることへの不安から売却を検討するケースが多い。東名阪など物流のハブ拠点になっている地域でM&Aが活発だ」と語る。(北島空)

 


建設業の倒産、8年ぶり1600件超 資材高や人手不足響く        

 帝国データバンクは10日、2023年の建設業者の倒産件数が前年比38.8%増の1671件だったと発表した。


 15年以来8年ぶりに1600件を超え、増加率は00年以降で最も大きかった。


 資材価格上昇や人手不足などで建設コストが高騰し、収益が悪化している。


 負債総額は52.5%増の1856億7800万円だった。パチンコホール大手ガイア(東京・中央)の店舗建設を担っていたグループ2社の負債額が、それぞれ214億5000万円と155億1600万円だった。


 それ以外の平均負債額は8900万円で、小規模事業者の倒産が中心だった。


 地域別では北海道が3.1倍の62件に急増したほか、九州が50.5%増の158件と過去10年で最も多かった。福岡市中心部の大型再開発「天神ビッグバン」や熊本などの半導体関連の工場新設など工事自体は少なくなかったが、コスト上昇で資金繰りが悪化する事例が多かった。

建設物価調査会(東京・中央)によると、東京地区の23年12月の建設資材物価指数(建設総合、2015年=100)は135.5と、21年平均の110.3から2割以上増えている。施主に対する価格交渉が難航しており、

 「請負単価が上がらない中で資材高騰の局面が続き、元請け、下請けともに収益力が低下している」(帝国データバンク)。


 人手不足による工期のずれ込みで下請け業者への支払いが延期され、資金繰り悪化につながっている。24年4月からは時間外労働の上限規制が適用され、工期がさらに延びる可能性がある。


 国土交通省やゼネコンの業界団体は支払いの適正化などを業者に呼びかけているが、帝国データバンクは「下請け業者への浸透には時間がかかる可能性もあり、更なる建設コスト上昇、倒産増加も懸念される」とみている。

 

 

 
 
 

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