価格交渉、タマホームやエディオンが最低評価 経産省
- 2024年8月30日
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経済産業省は2日、取引先の中小企業との価格交渉や価格転嫁に後ろ向きな企業を発表した。
経産省は4〜5月、4万6461社の中小企業を対象にアンケート調査を実施した。10社以上の中小企業から主要な取引先として名前が挙がった290社について取引価格に関する交渉や転嫁の状況をまとめ、4段階で評価した。
価格交渉と価格転嫁の評価がともに2番目に悪かったのはヤマト運輸、コメリ、パナソニックホームズなど18社だった。うち3社はハウスメーカーだった。
原材料費の高騰により住宅価格は値上がりする一方「価格転嫁がコストの上昇分に追いつかず、中小企業へしわ寄せがいっている」(同省担当者)と分析した。
ともに最高評価を受けたのは日本工営や日立造船などの13社だった。
斎藤健経産相は同日の記者会見で「社名公表をきっかけに取引方針が改善された事例もあった。賃上げの原資を確保するため中小企業は積極的に価格交渉してほしい」と述べた。低評価を受けた発注企業には下請け振興法に基づき助言や指導をする。
価格交渉拒否は独禁法違反、公取委が指針 賃上げ促す
公正取引委員会は企業が取引先との交渉に応じず価格を据え置けば、独占禁止法の違反行為に当たるとの方針を示す。
中小企業が賃上げの原資を確保するには人件費の上昇などを製品価格に転嫁する必要がある。発注者が受注者に適正な対価を払うことを求め、中小の賃上げにつなげる。
公取委が労務費の転嫁にむけた「価格交渉の指針」をまとめる。中小が賃上げするには発注者が受注者に支払う対価にコスト上昇分を転嫁しやすくする必要がある。エネルギー価格など目に見えて上昇がわかる費用に対し、人件費などの労務費は反映されにくい課題があった。
指針には発注者や受注者のそれぞれが守るべき項目を盛り込む。
発注者には、現場任せにせず経営トップが労務費転嫁の受け入れを判断することや、受注者と定期的に協議の場を設けることを要請する。
受注者の下請け企業への価格転嫁状況を確認するといったサプライチェーン(供給網)全体への責任を負うことも求める。
受注者にも、交渉の際には最低賃金の上昇率といった客観的なデータを用いて発注者に分かりやすく説明すべきなどと示す。
発注者が受注者と十分に協議をせず、支払い価格を長年据え置くことなどは優越的地位の乱用といった独禁法上の違反行為になると明記する。
下請法の「買いたたき」として問題になる行為なども挙げ、国内の多くの企業に指針の順守を促す。
中小企業庁によると9月の中小企業の価格転嫁率は45.7%だった。項目別にみると労務費の転嫁率は36.7%で、原材料費の転嫁率よりも低かった。
記事編集 社長
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